ちよりの読書室

読んだ本の感想をゆる~く書いています。

教養なくて情けない

読んだ本 『入門 山頭火』 町田康 春陽堂書店 町田康先生が自由律俳人の山頭火について書いた本。 「山頭火」名前だけは聞いたことがあるけど、なにをやっていた人かも知らなかった。学校で習っていないはず(私だけ?)。俳句なんて難しそう、そもそも自由…

事実は小説よりも奇なり

読んだ本 『ヒトラーの馬を奪還せよ 美術探偵、ナチ地下世界を往く』 アルテュール・ブラント 安原和見訳 筑摩書房 第二次世界大戦時、ヒトラー官邸前に置いてあった一対の馬のブロンズ像をめぐるノンフィクション。 高さ3メートル超、重さ1トン。まさかこ…

日本のはじまり

読んだ本 『口訳 古事記』 町田康 講談社 「ヤマタノオロチ」や「因幡の白うさぎ」など一度は聞いたことがある人も多いであろう日本のはじまりのお話『古事記』 まぁとにかくおもしろい! それ以外の感想は無いかもしれない。それくらいおもしろかった。 さ…

アップデート

読んだ本 『彼女が言わなかったすべてのこと』 桜庭一樹 河出書房新社 ある日偶然再会した中川君と主人公が住む世界はどうやら違う世界らしい・・・ パラレルワールドに生きる女性のお話。 実際に自分の身に起こったことでなければ、本当の意味で理解するこ…

いろいろと考えさせられるなぁ~

読んだ本 『破果』 ク・ビョンモ 小山内園子訳 岩波書店 韓国文学を読むのは初めてです。 殺し屋のおばあさんの話。 読みづらい文体で最初は戸惑いました。(作者の意図するところらしい)今まで一流の殺し屋として活躍していた主人公爪角(チョガク)。老い…

どっちなんだい!

読んだ本 『楊花の歌』 青波杏 集英社 初めて読む作家さんです。 戦時下諜報員として活動するリリーと楊花の物語。 誰が味方で誰が敵なのかハラハラする前半はスパイ小説。 後半に描かれる楊花の過酷な運命の物語は充分詠みごたえがある。 当時の緊迫した様…

やっちまったな~

読んだ本 『最後の語り部』 ドナ・バーバ・ヒグエラ 杉田七重訳 東京創元社 読書の記録を付けていて読了日を確認したら10月16日。1ヶ月以上感想も書かないで私は何をしていたのだろか?(野球を見たり、M-1の動画を見たりしていたような・・・。)1ヶ月前の記…

帯買い

読んだ本 『マナートの娘たち』 ディーマ・アルザヤット 小竹由美子訳 東京創元社 シリアで生まれて七歳の時にアメリカに移住してきたアラブ系アメリカ人作家の短篇集。 書店の店頭に立っていたあの時、私はとても困難な状況にあったので、本の帯の「わたし…

あなたの好きな映画はなんですか?

読んだ本 『スタッフロール』 深緑野分 文藝春秋 深緑野分さんの小説は『ベルリンは晴れているか』『戦場のコックたち』『この本を盗む者は』を読んだのでこの本も読みました。 戦後のハリウッドで特殊造形技師として働いていたマチルダと現代のロンドンでCG…

歴史を知る

読んだ本 『アウシュヴィッツのお針子』 ルーシー・アドリントン 宇丹貴代実訳 河出書房新社 タイトル通りアウシュヴィッツにあった高級服仕立て作業所と呼ばれるファッションサロンで働いていたお針子について書かれている本。小説かと思って手に取ったらノ…

エッセイに感想ってあんまりないよね

読んだ本 『小日向でお茶を』 中島京子 主婦の友社 中島京子さんの初エッセイ。 『夢見る帝国図書館』『やさしい猫』など優しい視点からの小説が好きです。 ちょうどコロナ流行前からコロナが流行りだして生活が一変したころに書かれたエッセイです。 コロナ…

物語の結末について述べています

読んだ本 『惑う星』 リチャード・パワーズ 木原善彦訳 新潮社 正直に感想を書こうとするとタイトル通り物語の結末について述べることになります。ネタバレが嫌だと思われる方はこれより先は読まないという選択をお願いします。 (そのため長めに改行してお…

X!

読んだ本 『紅だ!』 桜庭一樹 文藝春秋 今回の桜庭一樹作品は女子テコンドーのオリンピアン真田紅と元警視庁勤務の黒川橡、対照的なふたりが活躍する探偵バディもの。 疾走感があって読みやすくておもしろい。 装画も素敵です。 あまり色々書くとネタバレし…

あなたにとっていい本とは?

読んだ本 『あの図書館の彼女たち』 ジャネット・スケスリン・チャールズ 高山祥子訳 東京創元社 タイトルに「本」「図書館」が付いた本で何度失敗しただろうか。 本好きな私は書名に「本」「図書館」とあるとどうしても読みたくなって手に取ってしまうので…

よーく考えてみると

読んだ本 『とんこつQ&A』 今村夏子 講談社 今村夏子さんは『こちらあみ子』から新刊が出るたび読んでいる作家です。 読後に何とも言えない心が「ざわざわ」する作品が多いです。 今回は表題作の『とんこつQ&A』と他3編が収められた短編集。 『とんこつQ&A』…

時代は変われど

読んだ本 『喜べ、幸いなる魂よ』 佐藤亜紀 KADOKAWA 佐藤亜紀作品は『スウィングしなけりゃ意味がない』『黄金列車』『バルタザールの遍歴』を読んだことがあり、どれもおもしろかったのでこの本も読んでみました。今までの作品とちょっと違う気がします。…

やっぱ最高!町田康

読んだ本 『私の文学史 なぜ俺はこんな人間になったのか?』 町田康 NHK 出版新書 前の本を読み終わるのに2022年から2023年と年をまたいでしまったため、この本が2023年初めて読む本となります。年の初めはやはり一番好きな作家の本にしよう…

残念ながら越年です

読んだ本 『小説ムッソリーニ 世紀の落とし子 上・下』 アントニオ・スクラーティ 栗原俊秀訳 河出書房新社 野球がなければ本を読んだらいいじゃない!ということで読み始めた大作 野球は終わったけど、そこには絶対に負けられない戦いがある・・・ サッカー…

はよ、断りば言うてきんしゃい!

読んだ本 『少女を埋める』 桜庭一樹 文藝春秋 かなり前から桜庭さんの本は新刊が出るたびに購入しているのですが、手元にはあったものの何となく不吉な題名におののいて読むのが遅くなってしまいました。 そして、わたしはSNSをやっていないのでこの本の書…

えっ!町田先生がBL・・・。

読んだ本 『男の愛 たびだちの詩』 町田康 左右社 私が本を読むときに心がけていることは、色々なジャンル・色々な作家の本を読むようにすることです。 でも、時代小説は苦手で今まであまり読んできていないのです。だって、漢字がいっぱいあるじゃないです…

大ドンデンの帝王

読んだ本 『魔の山』 ジェフリー・ディーヴァー 池田真紀子訳 文藝春秋 懸賞金ハンターのコルター・ショウが主人公のクライムサスペンス第2作目。 第2作目ということは、第1作目があります。第1作は『ネヴァー・ゲーム』というタイトルですでに刊行されてい…

わからない

読んだ本 『日々のきのこ』 高原英理 河出書房新社 ジャケ買いです。 ヒグチユウコさん装画の本を見つけると作者や内容を確認せずに買ってしまうのです。 きのこの本? 生物学の本だったらどうするのよ、理科めちゃくちゃ苦手なのに。 でも、違ったようです…

タピオカは危ないらしい

読んだ本 『NSA』 アンドレアス・エシュバッハ 赤坂桃子訳 早川書房 もしも、第二次世界大戦中のドイツで今と同じようなコンピューターシステムが開発され携帯電話やインターネットが利用できていたらという歴史改変SFです。 この手の本の感想をネタバレせず…

英国の由緒正しいお子様たち

読んだ本『プークが丘の妖精パック』 キプリング 金原瑞人・三辺律子訳 光文社 キプリングは『ジャングル・ブック』の作者でイギリスの詩人・小説家です。 ダンとユーナの兄妹が野外劇場で遊んでいると『夏の夜の夢』に登場する妖精パックを呼び出してしまい…