ちよりの読書室

読んだ本の感想をゆる~く書いています。

あなたにとっていい本とは?

読んだ本

『あの図書館の彼女たち』

ジャネット・スケスリン・チャールズ

高山祥子訳

東京創元社

あの図書館の彼女たち

 

タイトルに「本」「図書館」が付いた本で何度失敗しただろうか。

本好きな私は書名に「本」「図書館」とあるとどうしても読みたくなって手に取ってしまうのですが、実際に読んでみるとあまり関係のない内容だったりしてがっかりすることも。

(ちゃんと確認しない私が悪いのですが・・・。)

でも、この本は間違いなく「本」と「図書館」の物語。

 

第二次世界大戦下パリのアメリカ図書館の司書として働くオディールの半生とアメリカ図書館の仲間たちを描いた物語。

 

オディールと一緒に働く図書館職員、図書館利用者は個性豊かで魅力的な人たちばかり。やがて戦争が始まると戦場の兵士たちに本を送る活動をしたり、図書館に通えなくなったユダヤ人に本を届けたり、アメリカ図書館の人々の自由を守るための勇気はとても素晴らしい。

 

アメリカに渡った孤独なオディールがフランス時代のつらい出来事と葛藤しながら隣に住むリリーと友情を育んでいく様は心を揺さぶられる。

 

作品の中に「大好きなこの世界が終わってしまうのが悲しいと思うようになった。まださようならを言う気になれなかった。場面を味わうように、ゆっくり読んだわ。」とういうセリフが出てくる。わたしのいい本の定義も早くこの先が知りたい、でも読み終えるのが惜しい最後のページをめくるのが惜しいと思える本がいい本だと思っている。

まさしくこの本もそんな本だった。

 

読んでよかったと思える一冊でした。

 

次はどんな本を読もうかな。