ちよりの読書室

読んだ本の感想をゆる~く書いています。

よーく考えてみると

読んだ本

『とんこつQ&A』

今村夏子

講談社

とんこつQ&A

 

今村夏子さんは『こちらあみ子』から新刊が出るたび読んでいる作家です。

読後に何とも言えない心が「ざわざわ」する作品が多いです。

 

今回は表題作の『とんこつQ&A』と他3編が収められた短編集。

 

『とんこつQ&A』

タイトルを見たとき何だこれ?と思いましたが、読んでみるとそれが何なのかがわかります。

幸せな家族が経営する街の食堂のように見えて実は・・・。他人から与えられた役を演じさせられている不穏な物語。

 

『嘘の道』

大なり小なり嘘をついたことのない人はいないと思います。そして噓をつくと後ろめたい気持ちになるものです。「消えてなくなる」の意味が恐ろしいです。

 

『良夫婦』

題名からの裏切りがスゴイです。良い人と見せかけて実はとても利己主義な夫婦。淡々と事後処理をする夫が怖いです。

 

『冷たい大根の煮物』

要注意人物に警戒して過ごしていたのにやっぱり騙されてしまう主人公。しかし、最終的にはこれで良かったのかなぁ。

 

どれも最後のページを読んだ後にゾクッとする作品ばかり。

そんなことはさすがに無いだろうと思うのですが、よーく考えてみると、ここまではないけれど似た人が近くにいるかもしれない。そして、自分自身もちょっと心当たりがあるかもと心がチクリとしたり。

人間の深層をくすぐって「ざわざわさせる」だから今村夏子作品は癖になるのかもしれません。

 

次はどんな本を読もうかな。