読んだ本
『喜べ、幸いなる魂よ』
佐藤亜紀作品は『スウィングしなけりゃ意味がない』『黄金列車』『バルタザールの遍歴』を読んだことがあり、どれもおもしろかったのでこの本も読んでみました。今までの作品とちょっと違う気がします。これは、18世紀のベルギーで亜麻を扱う商家の双子の姉ヤネケと幼なじみのヤンを中心に展開する家族の物語。さぁ、いったいどの切り口から読んだらいいのだろう?どの登場人物に心惹かれるのかにもよるなぁ。
最初に思ったことは、子供産みっぱなしだし、ヤンのことも突き放してしまうし「ヤネケ、クールでドライすぎない?」
よく考えてみると今の価値観とは違うこの時代にヤネケのような賢い女性が自分らしく生きていくためにはこうするしかなかったのかもしれません。
ヤネケが移り住んだベギン会は実際に存在した組織だそうで、この物語にでてくるベギンの女性たちの自立した生き方はたくましくて、うらやましいです。
ヤンはヤネケと一緒に暮らしたいと願いながらも、その願いはなかなか叶いません。ヤネケを愛しているからこそ、家族の死など様々な困難を乗り越えて商売を維持しようとするヤンの姿はとてもせつないです。
ヤネケに振り回されているようでも、こうすることが、ヤンの本懐だったのかもしれません。
この後2人はどうなるのだろう?
時代は変われど自分らしく生きるというのはとても難しい。
次はどんな本を読もうかな。