ちよりの読書室

読んだ本の感想をゆる~く書いています。

やっぱ最高!町田康

読んだ本

『私の文学史 なぜ俺はこんな人間になったのか?』

町田康

NHK 出版新書

私の文学史

前の本を読み終わるのに2022年から2023年と年をまたいでしまったため、この本が2023年初めて読む本となります。年の初めはやはり一番好きな作家の本にしようということで町田康先生の本にしました。

 

この本はNHK文化センターで町田先生が影響を受けた本や自身の創作活動について語るという講座を書籍化したものです。

 

町田康作品は「読みにくい」「わかりづらい」などと言われることもあるのですが、私はその独特の世界観にドはまりしていて、ほとんどの作品を読んでいます。

 

この本の前にムッソリーニの小説を読んでいたのですが、私には難しすぎて読むのに苦労しました。第一回で歴史の本は人間が出てくるから面白いとおっしゃていて、そうか歴史小説=勉強と構えて読んでいたので難しいと感じてしまったので、そうではなくムッソリーニが主人公の物語だと思って読書すれば、また違う感じ方ができたのではと気づかされました。

 

創作について語っている第六回では、小説家としてやりたいのは「お笑い」というお話。たしかに、町田作品に出てくる人物はどこか滑稽で、やっていることもドタバタな喜劇のような感じでおもしろい。私が読んでいるのは町田先生のお笑いだと思うと、それだけで楽しい気持ちになります。

 

町田作品が苦手だと思われる方は、エッセイ(随筆)を読んでみると良いかもしれません。犬がお好きなら『スピンク日記』、猫がお好きなら『猫にかまけて』など町田先生の素で書いている文章は、あの独特な世界観は変わらず小説よりは読みやすと思います。

 

町田先生が自分語りをしてくれたおかげで、なぜ私が町田作品に心惹かれるのかわかった気がします。

 

次はどんな本を読もうかな。