読んだ本
『アウシュヴィッツのお針子』
ルーシー・アドリントン
宇丹貴代実訳
タイトル通りアウシュヴィッツにあった高級服仕立て作業所と呼ばれるファッションサロンで働いていたお針子について書かれている本。小説かと思って手に取ったらノンフィクションだったことに驚きました。
あのアウシュヴィッツで華やかなドレスが作られていたなんて。
ユダヤ人というだけでアウシュヴィッツに連れてこられ、劣悪な環境下での過酷な労働を耐え抜いて高級服仕立て作業所に移動することができ、お針子として働くことで生き延びた女性たち。
厳しい状況のなか、思いやりや助け合いの心をもって行動することはとても難しい。果たして、自分だったらどうだろうと考えさせられました。
ナチス高官の妻たちは、自分たちよりも下等だと思っていたユダヤ人に服を作ってもらうのはどんな気持ちだったのだろう。矛盾を感じなかったのだろうか?
生きてアウシュヴィッツから帰ることができたとしても、過去の辛い経験を抱え、周りからの偏見や無理解から苦しめられながらも、戦後を生きていくお針子たちの姿は心を揺さぶられます。
あまりにも残酷な内容で読んでいてとても苦しく悲しい気持ちになりました。
何と言い表してよいかわからず、感想もなかなか書けませんでした。
しかし、今を生きる私たちがこのような歴史を知ることが、今後同じ過ちを繰り返さないための第一歩なのかもしれません。
次はどんな本を読もうかな。