読んだ本
『マナートの娘たち』
ディーマ・アルザヤット
小竹由美子訳
シリアで生まれて七歳の時にアメリカに移住してきたアラブ系アメリカ人作家の短篇集。
書店の店頭に立っていたあの時、私はとても困難な状況にあったので、本の帯の「わたしたちは、だいじょうぶだ。」という文字にすがるように手に取りました。
『浄め(グスル)』
亡くなった弟を憶う姉の悲しみがひしひしと伝わってきます。
『マナートの娘たち』
視点があちこちに飛んでちょっと難しかった。
『失踪』
今村夏子さんの『こちらあみ子』を思い出しました。
『懸命に努力するものだけが成功する』
今話題になているあの事務所の事件を彷彿とさせる。最後の言葉が胸に突き刺さります。
『カナンの地で』
イスラム教では認められていない同性愛を隠して生活する男性の苦悩。
『アリゲーター』
原書ではこの物語が表題作になっているらしい。人種差別を扱った話でとても大事なことだとは思うのですが、とにかく難しすぎた。
『サメの夏』
アラブ系というだけで差別されてしまう悲しさ。
『わたしたちはかつてシリア人だった』
こちらも視点があちこちに飛んでいく。最後の作文でなんとか落ち着いた。
『三幕構成による。ある女の子の物語』
主人公のある女の子は居場所が無く、やさしくしてくれる周囲の人たちにも冷たい態度で返してしまう。とてもせつない物語。ある女の子にすばらしい未来がありますように。この本の中でこの作品が一番好きでした。
現代社会が抱える問題を扱った物語で考えさせられることがたくさんあったものの、視点があちこちに飛んでいく作品は理解するのに苦労しました。
次はどんな本を読もうかな。